白の手仕事

新しい作品は、白の手仕事から始めることにした。
久しぶりに刺繍をすると、糸と戯れているような気持がして嬉しくなってしまう。
シャリシャリとした質感のアンティークリネンは、縫っているあいだに触れることで、手の温度も加わり柔らかくなってくる。そして作品が完成したころにはとろんとした手触りに変わっている。そういう一つ一つがとても愛おしい時間なのだと改めて思う。

5月の作品展は、手刺繍の新作を久しぶりにお届けすることが出来そうです。(沢山ではないけれど。。。)

 

クスクスと長ヒジキ

このところ何だかとても忙しかった。充実はしていたのだけど、少し体が疲れていたので、今日は栄養がたっぷりとれるようなお昼ご飯を作るつもりだった。相変わらず雑草薬学を取り入れているので、海の雑草である海藻が私の体には必要だろうと思い 、長ヒジキを使って料理を始めた。

最近お気に入りでよく作るクスクス料理と長ヒジキのサラダのはずが、ぼんやりしてしまいクスクス用のスープに長ヒジキを入れてしまったので、すごく複雑な味の料理になってしまった。。。思っていたより疲れ気味なのだと改めて気付かされた午後。

今日は作品作りはお休みして、体をとことん休めよう。静かな時間のなかで不意に零れる言葉を拾う1日にしようと思う。無になれた時、自分本来の言葉やイメージが零れてくる。ザワザワした波長ではそれを聞き取ることが出来ない。私の創作に静けさは無くてはならない。

 

丘いっぱいの星の花

布花で作る星の世界。
小さきものを愛するのは、刺繍の糸目を大事にするのと同じだと気が付く。
染め上がった花びらを、一つずつ組み合わせて花を作る作業は、たまに気が遠くなる。
澄んだ夜空を見上げた時に、あまりに星が多すぎて圧倒されてしまうように。。。

大らかで豊かに茂るようなイメージを心の真ん中に置いて、
今は一つ一つの作業に集中している。
急ぐ事なかれ。
前のめりになりそうな気持の自分に言い聞かせる。

5月に枚方市星ヶ丘のSEWING TABLEにて作品展をします。
その時期はちょうど星ヶ丘洋裁学園が創立70周年を迎えるそうです。私にとってなくてはならなかった大切な場所に、心いっぱい、体いっぱいで感謝を込めて
じっくりと丘いっぱいの星を作ってみたいと思います。

潔く大らかな色で。

新しい作品を作り始めました。
今の私が見ている世界の色、清々しくて潔い透明な色で染めました。少しずつこれから色を変化させていくつもりなので、最終的にどんな世界になっていくのか楽しみです。

染め花は久しぶりなので、ひとひらずつ染める気の遠くなる工程をじっくり味わい楽しんでいます。
種を蒔いて、芽が出る時間を考えると、沢山の工程も一つ一つ必要なものだとよくわかります。だから、何かを急いで進めたりする必要もないのだと気が付きます。

作品のことを考えているとき、「感謝する」ことをふと思っていました。
自分がここまでずっと歩いてきた道で、沢山の人のサポートがあったことや、へこたれずに続けてきた自分の精神力や、動き続けてくれる体のことを思いました。毎日の中では、改めて感謝することがあまりないので、作品を作ることで沢山の感謝を心に思いながら時間を過ごしたいと思います。

今年の作品展は5月後半と、9月を予定しています。他にも素敵なことが色々出来そうなので、決まり次第またご案内します。

人生の栄養となるもの

ポートフォリオを作り直しながら、この17年間を振り返る。
好きだけで始めたことが人生の半分ほどを作ってくれた。
刺繍での表現は私の大きな転機となったけれど、ここでまた転機が訪れるとは思っていなかった。
人は進化し続ける生き物だという。
そして私は魂を磨くように修練し続ける生き方が性に合っているのだと思う。

作ることを通して沢山の方と出会い、一つ進むたびにその出会いが深まったり、または新しい出会いへと繋がってくれた。活動初期の頃に作品を見て下さっていた方に、17年経ってようやくお会いする機会ができたのも、活動を続けている中でのご縁からだった。そのたびに出会いは大きく循環しているのだと思わされる。一人の人との出会いは、一対一だけでは終わらない。そして今という時だけでも終わらない。
一人の人の人生と自分の人生が出会うことは、思っているよりもずっと壮大なのだと思う。

一時期、それを怖いと感じたことがあった。鞄作家という肩書きがまだ新鮮に聞こえたころ、知り合いがどんどん増えていき、人との交流が飽和状態になってしまった気がした。そして自分と他者の境界線がうまく見いだせず困惑した。一つの出会いを大切にしたい気持は、出会いのスピードに追いついていかなかった。その頃に、刺繍をし始めたのだったと思う。外側の人生がどんなに目まぐるしく進んでも、自分の人生の舵は自分でとろう。そう思っていた。心を鎮め一針を見つめることは、人生にもう一度しっかり根を張るような作業だった。そして一昨年の腱鞘炎は、そのことを改めて見つめさせてくれた。
人生の根を張ることばかり考えていたのかもしれない。どこまでがんばっても、根っこがまだ足りないのだと思っていた。でも、もう充分なのだと手が教えてくれた。そろそろ地上へ、空へと自由に枝葉を茂らせて花を咲かせていく時期なのだと、自分自身の体に言われた気がした。
葛藤したり、もがいたりは栄養の一つなのかもしれない。苦い物を嫌わずに受け入れることは、思わぬ力になる。何度も立ち上がる力や、新しいものへ挑戦する力。もうそろそろ甘く優しいものも受け入れようと思うけれど、、、(笑)

作ることの一つ一つが人生の栄養になっている。それを改めて知り、もっと大事に誇りにしようと思った。

ありがとうの種

伝え忘れてしまった「ありがとう」が沢山ある。
人生の荒波に飲み込まれそうになりながら、必死で生きているときには、
助けてもらっていることに鈍感になっている。
手を差し伸べてもらったからこそ、乗り越えられた出来事が
本当は沢山あったことに気が付いた。。。

だから私はありがとうを自分なりの形で伝えたいと思った。
そのために手掛け始めた作品は、まだ形にすらなっていないけれど、
少し時間をかけて、納得のいく形にしてみたい。

写真は2007年、作品展のために制作した「愛の種」。
果実の中に、小さな愛の種を閉じ込めたガラスの作品。
沢山の人の助けで、思いを形にしてもらった大切な作品です。
助けてもらうことで、「ありがとう」と素直に伝える機会ができる。
そう思うと、一人でがんばるよりも、助けてもらうことでよりいっそう
人生が豊かに広がるように感じる。
助けてもらうことは、弱いことだなんて思わずに、
ありがとうの種を一粒植えることなのだと思えば、
その関係を大切に育てたいと自ずから思える。
そして伝えられなかった「ありがとう」も、今だからこその形で
素直に伝えられたらと思う。

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

今年は新しいことにチャレンジする一年。
より情熱的に、失敗を恐れずに、前に進んでいきたいと思います。

みなさまにとって、温かな一年になりますように。。。

(写真の犬は曾祖父の家からずっと昔にいただいてきたもの。)

無事に終了しました。

昨日で「冬の妖精の手仕事展」も無事に終了し、今日はゆっくりと羽根を休める一日でした。
作品も沢山の人の手に渡り、本当に感謝ばかりです。足を運んで下さった皆様、ありがとうございました。
今回はグループ展だったので、いつもよりもなんだか温かくて、心がポカポカするような愛に包まれた展示でした。

期間中に沢山の出会いがありましたが、展示以外でも素敵な出会いやミラクルが沢山ありました。
自分自身が心から優しい気持でいられると、こんなにも愛に満ちた時間が訪れるのか、、、とびっくりしています。
一緒に展示をしてもらったitokotoさん、mariroさんは、本当に素敵に丁寧に生きている人たちで、時間を共有させていただいたことで、自分の人生も見つめ直す機会になりました。
なるべく丁寧に生きているつもりでしたが、このところ「何か大事なこと」を忘れているような気分だったのです。その「大事なこと」を思い出すことができました。
前に進むために、私は多くのものを捨て去ってきてしまったように思います。その中に、人生の機微とも言えるものもあったのかもしれないと思うのです。これからは、自分の周りにあるものの一つ一つを、改めて大切にしていこうと心に刻みました。

今年は自分の手や体のことで、色々と思う事が多い一年でしたが、それによって素晴らしい人生の指針を見つけることができました。そして沢山の方の優しい気持に支えてもらい、愛をいっぱい受け取る時間になりました。

手刺繍の作品について。

手刺繍の作品を楽しみにして下さるお客様へ。

ただいま開催中の「冬の妖精の手仕事展」at シャムアを持ちまして、
手刺繍作品の展示販売を最後とさせていただくことになりました。
ツバメのブローチも残り少なくなっていますが、鞄の刺繍作品など
ご希望の方はこの機会にどうぞ手に取って下さい。

◎後半の在廊予定日 12/19.23.24.25

 

手仕事での作品は引き続き制作していきますが、手の負担がかからない手法へと
変えていくことにしました。

手刺繍の美しさや、静かに針を縫い進める時間が本当に好きで
ここ10年ほどは刺繍作家さんと思われるほどに刺しておりました(笑)
不思議なことに、刺繍の作業が難しくなってきたとき、以前から少し考えていた手法の
材料となるべきものを、とある方から大量に受け継ぐこととなりました。
波がきたときは、そのタイミングをうまく生かしてみようと思います。

どうぞ新しい手法での作品を楽しみにしていて下さい。
そして2017年も最後の作品展で、刺繍の作品が沢山の方の手へと
大切に届いていきますように。

七重

やわらかな風に包まれながら。

何度も訪れる場所がある
都会からもそんなに離れていない場所なので
気軽に足を運べる山の上。

今日は展示会はお休みの日。
自然の中でゆっくりとエネルギーを補充したくなった。
風が強くて空気も冷たかったけれど、ちょっとがんばってロープウェーで山頂へ。
しばらく歩いていたら、風はやみ、日射しがたっぷりと注がれてきた。
神様ありがとう。。つい、つぶやいてしまいそうになるくらい穏やかで、
あたたかで、優しい空気に包まれていた。
下界の喧噪もわすれて、太陽の光に体全部があたためられていく。

静かで、本当に静かで
あたたかで、穏やかな時間。
風はやわらかく吹いている。

 

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