一粒に、無限の宇宙を見る

つい先日のこと。
風邪が悪化してしまい、声が出にくくなってしまったので急遽出先から帰宅する途中で、以前アルバイトをさせてもらっていたドレス会社のアトリエのマネージャーさんと偶然再会した。熱っぽくぼんやりしていたので、支離滅裂な会話をしたように思うけれど、偶然出会う時というのは、そんなものかもしれない(笑)
ああしなくては、こうしなくては、、、というような思考に余計なコントロールのないとき、物事は思わぬ方向から素敵なことが突然やってくる。昔からよくミラクルが起こる人生なのだけれど、何かに夢中で生きていると素敵なことも惹き付けられてくるのだろうなと思う。

制作中のオーナメントは少しずつ増えてきて、デスクの上が楽しいことになっている。
たまにスキャパレッリの本のページを開く。囚われから自由になりたいときに。

どんなに小さい作品の中にも、無限の宇宙があるのかもしれない。
作品に何かを感じるのは作り手ではなく、見る側の共鳴によるもの。見る人がこの小さな作品の宇宙と繋がったときに、急に世界が広がって、そこに物語が生まれる。
そういう共鳴の喜びを知っているから、作品を作り続けているのだろうと思う。

オーナメントの紐に使った繊細なレースは、佐渡に移住した知人から引っ越し前に譲ってもらったもの。スイスで手に入れたアンティークレースだから作品に活かして欲しいということだった。何かぴったりくる作品を作る時に使おうと思って、ずっと取っておいたものだ。刺繍の雰囲気ともぴったりだし、今年のクリスマスは何だか特別な感じがするから、大切に仕上げていこうと思う。