今展のエピソードを綴りますね。
まず、2011年に「心星のセレナーデ」という作品展を開催しました。
その作品がきっかけで画家の高濱浩子さんと出会う事ができました。
この時テーマとしたのがタゴール詩集「迷い鳥」からの詩でした。
円相としてひとつずつ刺繍した円の作品に77編の詩を選び添えました。
結局全部で100点の作品を並べて展示したのは、「なんでもまず100作ってみれば、何かが見えてくるからやってみたら」という亡き師匠の言葉がわたしへの宿題のように感じたからでした。
活動を始めて11年目、目指していた場所に辿り着いたように感じながらも、次のステップがみえなくて試行錯誤の時でした。
そんなタイミングで師匠が天へ旅立ち、良いも悪いも全部を丸ごと受け止めて下さった方が急に居なくなり、ポカンと穴があいたような時期でもあって、どうにか前へ進むために色々な本を読み漁る中でタゴールの詩と出会いました。
よろこびも悲しみも、清濁を飲み込んで自然のままに逞しく生き抜いた人たちの言葉に力をもらう事が多いです。
タゴールの詩は、深い悲しみがあることを肯定してくれるような力をもらいます。魂のほんとうの姿を見つめる大きな心に包まれます。
高濱浩子さんもわたしにとってはそんな方。
国内外で美術にまつわる様々なことを学ばれ、沢山の経験をされながら、絵を描くことが生きることそのものとして地に足ついている方です。
魂とは何か、愛とは何か、わたしたちの存在の源を真っ直ぐに見つめている方。
深い思いやりを持ってそれを広い世界で分かち合って生きておられます。本当に尊敬しています。
作品を一緒に並べることに、ただただ畏れ多い気持ちですが、頂いたお話をありがたくお受けして、今の自分にできる限りの力で丁寧に手仕事をしています。
昨年11月に浩子さんはインドへ創作の旅へ。(その旅のお話は展示の時に聞く事ができます。)
以前に留学されていたタゴールの建てたビッショバロティ大学の地シャンティニケタンです。「何もない」からこそ全てがある場所。
太陽と大地と風と、シャンティニケタンの人々や他の生命たち、それら全てと自分自身がひとつになって、自分すらもなくなった時、絵が生まれるのだと思います。ぜひ見て感じていただきたいです。
その旅の間、日本とインドでやり取りをしながら少しずつ言葉を重ねて、インスピレーションをもらい作品制作しました。写真の作品はインドのカディシルクを使っています。
浩子さんの奏でる魂の歌に、音色をそっと重ねるような気持ちで、ただただ祈りの刺繍をしています。
つづく
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「風舞い ひとつとなりて」
高濱浩子 浜七重二人展
タゴールに導かれた魂の旅路
そこから生まれる絵と手仕事の作品展
1月22日(水)〜26(日)11:00〜17:00
SO Lei SEWING TABLE COFFEE 分室にて
大阪府枚方市星丘2-11-18
星ヶ丘洋裁学校敷地内
京阪星ヶ丘駅より徒歩3分