やわらかな風に包まれながら。

何度も訪れる場所がある
都会からもそんなに離れていない場所なので
気軽に足を運べる山の上。

今日は展示会はお休みの日。
自然の中でゆっくりとエネルギーを補充したくなった。
風が強くて空気も冷たかったけれど、ちょっとがんばってロープウェーで山頂へ。
しばらく歩いていたら、風はやみ、日射しがたっぷりと注がれてきた。
神様ありがとう。。つい、つぶやいてしまいそうになるくらい穏やかで、
あたたかで、優しい空気に包まれていた。
下界の喧噪もわすれて、太陽の光に体全部があたためられていく。

静かで、本当に静かで
あたたかで、穏やかな時間。
風はやわらかく吹いている。

 

ぬくもりと作品と。

ぬくもりについて

シャムアの店主松橋さんとお話する中で、仕事の指針となるものがすごく近いことを知りました。「自分がやっていて楽しいだけじゃなくて、お店にくる方が心から楽しんだり、嬉しい気持になることを大事にしています。来て下さる方の人生に寄り添う店でありたい」と教えてもらい、なぜシャムアが沢山の方に愛され続けているのかがよくわかりました。そしてなぜ自分がそこに足を運んでいたのかも。商品が素敵で、珈琲が美味しいからというだけではなくて、人と人との時間の中に温かさや、ぬくもりが感じられるお店だからだと思います。

私が作品を作り始めたとき、「一人だけの世界で完結しない作品制作をしたい」と思い続けていました。自己満足だけで終わってしまわないこと。表現する世界を受け取ってくれる人がいて、初めて仕事になるのだと思ったのです。それは今もずっと変わらなくて、自分が出来ることを通して、ささやかでも風通しのいい心や愛の循環があるようにといつも願っています。

「もの」が美しく良いものであれば、そういう付加価値はいらない。という人もいます。それはそれで、とても素晴らしいことだけれど、そこには循環はなく、その世界の中で完結する美しさなのだろうなと思います。ぬくもりがある作品や空間は、不思議なことにそこに人間の気配を感じ、新しい何かが生まれたり、心のやりとりが生まれていくのです。それがとても楽しいなと思います。

作品に言葉や詩を添えたりするのは、きっとそういう気持からなのだと思います。
わかりやすい形で、やわらかなぬくもりを作品に添えていたいのだと思います。
そしてそれを楽しんでもらえるのが、自分にとって一番嬉しいのだと思います。
私にはそれだけ、伝えたい言葉が沢山あるということなのかもしれません。

作品展はじまります。

12/2日から開催です。
[Exposition d’artisanat fee d’hiver] at Shamua

冬の妖精の手仕事展

2017/12/2sat 〜 25mon(6,10,13,20close)
シャムア ギャラリー

大阪市西区北堀江1-6-4 欧州館4F12:00 – 20:00

ひさしぶりの作品展は手仕事の三人展です。鞄の作品は過去のものが多いのですが、小さいものは新作を沢山作りました。

刺繍作家のmariroさん、アクセサリー作家のitokotoさんとご一緒させてもらいます。
三人それぞれの手仕事、丁寧で細やかな仕事が並んでいますので、是非ゆっくりと見て頂きたいです。少しだけクリスマスの雰囲気で温かく楽しいディスプレーにしてきました。
私は土日(10日をのぞく)と火曜日は在廊予定です。

是非作品に出会いにいらして下さいね。お待ちしています。

月の雫のペンダント

月の雫

手刺繍のペンダントトップ
植物の実のようでもあり、貝殻の欠片のようにも見える

ふんわりと優しいペンダントをつけると、

胸元に小さな月の雫を抱くことになる

どうか温かな時間を過ごしてください

小さな雫にやわらかな愛をこめる

 

冬の妖精の手仕事展

久しぶりの展示のお知らせです。

[Exposition d’artisanat fee d’hiver] 冬の妖精の手仕事展

2017.12.2(sat) – 25(mon)
at Shamua (6,10,13,20 close)

12:00 – 20:00
大阪市西区北堀江1-6-4 欧州館4F shamua gallery

手仕事のアーティスト3組による展示販売会です。
いつもと少し違って、可愛らしく温かな雰囲気の作品展に参加させてもらいます。
冬の森をイメージして、小鳥のコラージュカードなども久しぶりに作ってみました。
懐かしい過去の作品も少し並べます。自分への贈り物、お友達への贈り物、色々と探しにいらしてくださいね。

 

11月もあと一週間ほど。早いなあと思っている間にも、どんどんと時間が過ぎている。
寒くなってきて、なぜかNYに旅した時の記憶がふいに思い出される。

街路樹の落ち葉が足下に沢山積もり、カサカサと小さな音をたてるのが、どうしてもコーンフレークの音に聞こえたことや、名前も知らない公園のベンチに座っていたら近くで妖精のように可愛い女の子が急に歌い始めたことなんかの、ささやかな記憶。
とても温かな記憶だからだろうか。思い出すと心が温かになる記憶があるというのは、豊かで幸せ。

記憶にのこる風景

この風景をいつか思い出すのだろうと思う。
小さい頃からの、楽しいこともそうでないことも、記憶を大きく包みこむようなあたたかな風景。
私には田舎と呼べるような場所がないのだけれど、育った地域から歩いて40分くらいのところに、夢みたいに素敵な風景がある。
秋の終わり、この時期だけの花畑が今も大切に保存されている。
愛おしい風景。

花畑は少女のころの憧れだった。
頭のなかで、そこに咲く花を両手いっぱいに抱えてみる。
小さな可愛いらしい花が一斉に咲く事で、
世界にその存在を大きく知らせているみたいにも思える。
だからか、優しく穏やかなのに、圧倒されてしまう。
冷たい風が吹き抜けたら、この風景も次第に消えて、
枯れた花々は、次の季節に備えるための大地の養分になる。
ダイナミックな自然のサイクル。
そして私を含めた全ての人が、その一部として生きている。

ダマスクローズの香りで潤いを。

先日やっとハンドメイドの化粧水が出来上がりました。
ダマスクローズのローズウォーターとカモミールのティンクチャーを使って。
ローズの香りは以前はあまり好まなかったのですが、アーユルヴェーダの先生とお話する機会があり、色々と教えていただきました。今の私の体の状態だと、ローズが体の内側に潤いを与えてくれると聞き、使ってみることにしました。朝晩、化粧水をたっぷりと使うたびに何やらうっとりするような気分になります。
香りに色がある訳ではないのですが、ダマスクローズの赤色や強いピンクのような色が自分を包んでくれるような気分になれます。嗅覚と脳とイメージの関係はとても面白く、作品を作るインスピレーションにもなります。私は元来とても女性的な性質を沢山もっているのですが、それを表現しないようにマニッシュな服を着たりしていたことにも気が付きました。一人で仕事を切り盛りしていたころに、そんな習慣がついてしまったのかもしれないです。男性に負けないように、必死で壁に立ち向かい、自分の道を切り開いていたのですから。。。それも仕方がなかったのかもしれません。

 

刺繍を再開してから、手の調子もさほど悪くなることもなくホッとしています。
純粋に「作る喜び」を味わうために、腱鞘炎で作れない時期があったのかもしれません。

暮らしと手仕事。
工夫する喜びと美を追求するこだわり。色々な喜びを暮らしの中で感じながら生きることで、本当に豊かな時間を過ごすことができます。
お金が沢山あって、何もかも買えるとしても、私はきっと同じ生活をするのだろうなと思います(笑)ダマスクローズは、本来の自分に戻るきっかけをくれたように思います。
ハンドメイドとは、何が本当に必要なものなのかを、しっかりと自分に問う時間でもあります。自分の手を使うことで、本当の自分を見つめる大切な時間になります。

実りがもたらした調和

ある人がSNSでふと零した言葉が、とても素直で正直で、なんだか良いなと思った。
その言葉は、少し落ち込んで思わずこぼれた弱音だったけれど、正直で、言葉になんの違和感もなく、すっとこころに届いてきた。
魂で生きる人は強くて弱い。弱くても強い。
ありのままで真摯に生きようとする姿が、その言葉には自然な形で現れていて、
だから弱音だとしても、素敵な言葉だと感じた。
こころに優しく響く体験だった。

 

台風のおかげで久しぶりに終日作品を作る時間が持てた。
作るリズムのようなものが甦ってきて、「そうそう、こういうリズムだった」と
やっと自分に戻れたような安堵感を感じ嬉しくなった。
以前は鞄のデザインを表現の手段にしていたけれど、
今は糸で線を描くことだけで充分のように感じている。
そしてとても充実している。
手縫いで美しく線を描き続けることは、意外に難しい。
集中力が切れた途端に、ひょろっとおかしな線になる(笑)

小さなハートのオーナメントも少しずつ仕上がって、保管の為に並べて吊るしている。
何だかそれは林檎の様な実が、たわわに実っているようで、
見るとつい微笑んでしまう。
(ハートと林檎は似ているのだろうか?)

作品制作の時間を取り戻せたことで、自分に調和が生まれたからか、
「すでに手の中にあったもの」がよく見えるようになった。
自分を必要以上に飾り立てなくても、もう充分なのだと思った。
これ以上他の何かを加えようとしなくても充分。
作ることは、すでに私の一部だった。
私は自分以外の、一体何を目指してあんなに必死だったのだろう、、、(笑)。

1本の道を歩きながら

ただ毎日コツコツと一針を重ねて
何もなかったところに小さな形が生まれていく

どんなに華やかに見える世界でも、日々の仕事というものは
本当に地道なことの積み重ねなのだと、最近つくづくそう思う。
自分の道を歩き始めた瞬間から、その地道さに気が付く。
アーティストが毎日個展を開いている訳ではなく、
一人で黙々と作品を作っている時間のほうが長いのだ。
まず手を動かす。そして試行錯誤の繰り返し。
地道な作業を嫌いにならずに続けられる力や、良い作品が生まれない時にも
めげずに踏ん張れる力が一番の才能なのではないかと、私は常々思っている。
だから一つの道をコツコツ一生続けられる職人さんやアーティストを、
私は本当に尊敬している。

石の上にも30年。私の師匠が言っていた言葉。
30年がんばって、ようやくその世界に近づけるのかもしれない。
そのために、今できることをコツコツ。
一針を重ねられる喜びに感謝しながら、コツコツと。

Parisのツバメ

大好きなお店が昨年20周年だったことを、つい最近知った。
北堀江のシャムアさん。
カフェとフランスアンティークの食器や生活雑貨のお店で、店主の松橋さんは北堀江のマリア様と言われているほどに素敵な方。お店の中は松橋さんの買い付けてきた素敵なもので溢れている。可愛い雰囲気だけど、可愛いだけではなくて、その中に歴史と思いがしっかりと見えるお店。
数年前に上階の屋根裏のようなお部屋をギャラリーにして、色々な作家さんを紹介してくれている。

長くお付き合いさせてもらっているけれど、昨年はなかなかお店に伺えなくて記念のタイミングをお祝いすることが出来なかったことがとても残念だった。
今年は時間が沢山できたこともあり、ちょくちょく顔を出させてもらっていたので、12月に開催される手仕事展に参加させてもらうことになった。
せっかくだから、シャムアの大事なモチーフを刺繍したいなと思い、お聞きしたところ、ツバメが大好きだということだった。よく見るとお店のいたるところにツバメモチーフがあって、その中から一つだけ選び、その形を刺繍の図案にさせてもらった。

ツバメはオスカー・ワイルドの「幸福な王子」で愛の鳥だったし、ヨーロッパのアンティークジュエリーなどのモチーフとして好まれていた。幸せや平安のシンボルになっている。

いつもならブローチはレザーで裏張りしてすっきりとしたものを作るけれど、今回はシャムアの柔らかなイメージにしたくて、少しふんわりと優しい触り心地のブローチ。

松橋さんは、私の手仕事をずっと見守って応援し続けて下さる人。
活動がうまくいっている時も、そうでない時も、変わらず応援し続けて下さって、本当に心が救われていた。うまいっている時というのは、周りに人が沢山集まってくるけれど、そうでない時にもそばにいて下さる人は、本当に大切にしたいと思う。

私も今年で17年目。松橋さんのシャムアのように、素敵な歴史を紡いで20年を感謝できるように、一つ一つ大事に作り、やわらかな愛の循環を続けていきたいと思う。

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